ライナーノート(2/3)

YANA



   DTMがますます普及し、音源も高性能となっていく中で、オーケストラ作品を中心として質の高いものを目指し研究・制作そして発表していくというのが、私の活動の一つの大きな目的である。先にも述べたように限界はあるだろうが、望むべくは立派な音楽芸術の一分野として世間に認知されるようにしたいというのが、当事者たる私のささやかな願いでもある。その意味でこのマーラーは一種の「共同作業」とはいえ「限界への挑戦の1ステップ」として非常に意味のあるものと信じている。


 最近、様々な経験より私はDTMによる音楽作り、特にオーケストラ音楽の制作について確信を深めたことがある。それは一言で言うならば「すべては作者次第である。」ということになろうか。時に聞かれることとして「所詮、機械である。」とか「生楽器に敵うわけがない。」というような「機械、あるいは電子楽器であるが故の限界」に関する意見がある。私はそれらの意見を全て否定するものではないが、「・・・だから大したものは出来ない。」という結論に至る場合には強い反発を覚える。


 DTM音源をあくまでも音楽的表現のための一手段と考え、その持つ機能を改めて見直してみれば、この未だ発展中の電子楽器に秘められた可能性の大きさには目を見張る思いがするのである。一体今までにこれほど小さなサイズながら「一台で大編成オーケストラ用の音楽を再現する。」ことが可能であった楽器があるだろうか?とりわけ現在のように音質、機能が進化を遂げた状況において「大したもの」を作れるかどうかということは、基本的には音源(あるいは「機械」)の問題に帰されるべきではない。それはすべてのジャンルにおける音楽と同様に「演奏家(制作者)」の音楽性と技術、さらには独創性に帰されるべきものである。その点では「音楽に対する感性を磨く」ことから「技術に関する不断の研究」に至るまで為すべきことはまだまだ果てしなく多いが、今後とも努力は傾注していきたいと思っている。


BACK(戻る)NEXT(次へ)


 



TOP